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商品コード:
ISBN978-4-87402-051-7
脳蘇生治療と脳死判定の再検討
-新世紀を迎えた脳低温療法、臓器提供・移植-
高倉公朋 片山容一 守谷 俊 竹内一夫 J.D.ヤング 洪 祖培 久保山一敏 國分裕司 水野 正 高瀬暢彦 田中秀治 島崎修次 神野哲夫 寺岡 慧 菊池耕三 小中節子 野本亀久雄 江見康一 朝浦幸男 坂本百大
1997年10月,「臓器に関する法律」が施行され,わが国の脳死下臓器移植の新しい時代が拓かれた.1999年2月には臓器移植第一例が行われ,以降2001年2月末までに12例の臓器移植がなされている.
しかし,わが国では脳死をヒトの死として認めることや,脳死判定の手順について必ずしも全国的な合意に達しているとはいえず,本書にもみられるように脳死下臓器移植について強い異論も多い.本書は
第1に,わが国のこの状況をふまえ,医学者,社会学者,ネットワーク,行政担当者など各分野の多様な意見を掲載した.執筆者はいずれもわが国の脳蘇生・脳死判定・臓器移植の歴史の中で中心的役割を果たしてきたと同時に,第一線でその現場にたずさわってきた方々である.さらに台湾,英国,米国の研究者の寄稿も得,日本の状況を国際的視点から位置づけている.
第2に,法施行後に行われた臓器移植例をきわめて詳細に,かつ医療現場の視点から分析したはじめての成書であり,今後の移植医療発展にとって貴重な資料を提供している.
第3に,脳蘇生の最新の療法として注目を集めている脳低温療法をわかりやすく解説することによって,脳死判定に先立つ救命救急医師の渾身の努力を伝えている.この脳蘇生のための献身なくして,脳死判定も臓器移植もあり得ないからである.
■第1部■
脳蘇生治療の再検討-脳低温療法の現場から-
脳と,脳損傷の病理・症状・転帰/脳蘇生とは?/重症脳損傷患者の,新しい概念に基づく脳障害機能/米国マイアミ大学ディートリック教授による動物実験,その紹介/脳低温療法/脳蘇生医学の現状と展望
■第2部■
脳死判定の再検討-脳死診断の現場から-
脳死診断の現場と平坦脳波/脳死診断の現場と無呼吸テスト/脳幹死と全脳死/脳血流と脳死判定/臓器提供のための脳死判定/各国の脳死判定基準/脳死の概念はいかにして導入されたか/英国における脳幹死,歴史と現況/人工呼吸器使用が続けられ,脳幹死と診断された深昏睡患者の転帰/臨床現場における脳死判定の現況/脳死判定基準,一つの再検討結果/我が国で行われた臓器提供のための脳死判定,その記録/我が国で行われた臓器提供のための脳死判定に対するコメント
■第3部■
脳死と臓器提供・臓器移植の社会的問題
救急医療の立場と臓器提供/臓器提供に絡む社会的問題/脳死判定から臓器提供へ,ネットワークの立場から/臓器移植の立場からみた脳死/脳死,臓器移植問題への経済的接近/脳死,臓器移植,現況と今後-行政の立場から/脳死と臓器移植の法律問題/脳死・臓器移植への法文化の視点/グローバルバイオエシックスからみた脳死からの臓器移植
資 料 関連法規
用語解説