医学・獣医学書　近代出版/商品詳細ページ

〈第四版〉の刊行より6年が経過し,動物感染症の発生状況等は大きく変わりつつある。そうした変化に対応するべく、総論では最新の知見を追記した。また、各論では高病原性鳥インフルエンザや豚熱、新型コロナウイルス感染症等の最新情報を盛り込むとともに、各感染症の名称を更新し,新たに報告された感染症および野生動物に由来する動物の感染症についての記述を充実させた。すべての動物の感染症の制御に立ち向かう獣医師,教員,学生の正しい知識と対策実行への一助となる一冊である。

　〈第五版〉の編集方針は以下のとおりである。
1. 本書の母体である『獣医伝染病学』刊行の理念を踏襲する。
2. 動物感染症分野の急速な技術革新と情報の蓄積に基づいて,最新の知識を提供する。
3. コアカリ準拠の教科書を補完する専門書として,個別疾病について読者の理解を深める。

■主要目次■
総論: 感染症の成立と発病機序/感染の経路と経過(局所感染と全身感染)/感染症の実験室内診断とバイオハザード対策/感染症の予防と治療/関連法規の概要/伝染病の防疫の実際/動物の感染症と微生物に関する主な事跡

各論(収載疾病数449):牛(89疾病)/めん羊・山羊(25疾病)/馬(31疾病)/豚(51疾病)/家きんおよび鳥類(58疾病)/犬・猫(58疾病)/猿類(9疾病)/げっ歯類・うさぎ類(42疾病)/ミンク(5疾病)/蜜蜂(6疾病)/魚類(56疾病)/水生甲殻類(9疾病)/その他の飼育動物および野生動物(10疾病)

病名については下記を採用した。
<日本語の病名>
下記に挙げる項目を考慮し,最も適当と思われるものを採用した。
1) 関連法規(家畜伝染病予防法等)で用いられている用例
2) 日本獣医学会が2019 年に農林水産省に提言した伝染性疾病の名称に関する基本方針
　・ウイルス感染症に関しては「ウイルス名+感染症」を用いる。
　・細菌,真菌および寄生虫による感染症については,「病原体名+症」を用いる。
　・ただし地名,人名,症候名の後に「病」をつけた伝統的な疾患名が存在し,それらが一般的である場合にはそれに倣った。
3) 国際獣疫事務局(WOAH)等の国際機関が提唱する疾病名
4) 従来の慣用例
5) なお,病名の表示方法については次の事項を原則とした。
　①　特定の宿主における感染症が中心の場合,病名の前に「宿主名+の」を付した。　例:豚の日本脳炎
　②　病名に宿主名が入っていて宿主名と病名の間に「の」を付さない場合
　② -1) 監視伝染病　　例:牛伝染性鼻気管炎,牛カンピロバクター症,豚丹毒,豚赤痢,馬パラチフス
　② -2) ウイルス名+感染症による表示　　例:牛RSウイルス感染症
　② -3) 慣用的な病名に宿主名が入っている場合　　例:豚インフルエンザ,豚胸膜肺炎,鶏パラチフス
　③　 同一病原体が多種類の宿主の病原となる場合で,その疾病を1カ所にまとめて記述する場合は宿主名を入れない。　
　　　例:口蹄疫(牛のウイルス病の項目に収載するが,他の宿主についても記述する)
　④　慣用的な病名であって,宿主が1種に限定される場合は宿主名を付さない。
　　　例:伝染性角結膜炎
<英語の病名>
文献で最も頻用されているものを用いた。学名・血清型以外の英語は、アメリカ英語で記載した。