鎌田實氏推薦
信濃毎日新聞
【書評委員おすすめ・夏休みの1冊】
未だ若き日の憶いを抱き、燃やし続ける二人……、詩人・茨木のり子と哲学者・長谷川宏がここに出会いました。
茨木のり子の20歳代から最新詩集『倚りかからず』までの作品より28篇を選び、長谷川宏が、その一篇一篇の世界に浸り、思いを共有しつつも、自らの思索を展開した書です。
心の平穏を失いそうな荒々しい現実を、曇らない眼、歪みを見据える眼で、静かに・優しく、そして激しく・雄々しく透視しています。
思索の扉をたたいてみませんか。美しく考えることの勇気がわいてきます。
「詩と散文のつらなりのうちに、思考のぶつかり合いと響き合いを感じてもらえるとうれしい」(長谷川宏「おわりに」より)
■主要目次■
はじめに――茨木のり子
本文 [茨木・詩・・・長谷川・散文]
幾千年・・・ミイラ
鍵・・・天国の鍵
青年・・・孤独の顔
女の子のマーチ・・・子どものエネルギー
ある一行・・・絶望と希望
六月・・・季節感
行きずりの黒いエトランゼに・・・異文化体験
顔・・・他人の目
吹抜保・・・名前をつける
さくら・・・桜三題
落ちこぼれ・・・劣等感
わたしの叔父さん・・・ぼくの叔父さん
端午・・・子どもの生意気
大男のための子守唄・・・眠り
夏の声・・・いくじなしのミーちゃん
根府川の海・・・川下の海
スペイン・・・わがスペイン
寒雀・・・子どもの憎たらしさ
廃屋・・・過疎地の廃居
最上川岸・・・世襲
居酒屋にて・・・庶民の哀歓
鄙ぶりの唄・・・歌って踊って
さゆ・・・湯と白湯
あのひとの棲む国・・・隣の国
四海波静・・・公式発言
わたしが一番きれいだったとき・・・戦争に抵抗する美意識
問い・・・人類の死滅
準備する・・・戦後の青春
おわりに――長谷川宏
【関連図書】
『魂のみなもとへ 詩と哲学のデュオ』
書評で紹介!
2006年8月7日号 婦人公論【新刊】
「凛とした詩のことばと響きあう研ぎ澄まされた散文。」
2006年7月23日号 信濃毎日新聞【書評委員おすすめ・夏休みの1冊】
鎌田實氏
「心がキューンと温かくなる本だ。夏休みに家の近く公園やお寺の木陰で詩と哲学のデュオを堪能してみてはいかがでしょう。」
2006年6月16日号 週間朝日【話題の新刊紹介・ことば】
西條博子氏
「詩人と哲学者の年齢はひとまわりも違うが,似た想いを抱いてひとに注ぐ眼差しがやさしい」
2006年6月1日 日本老友新聞【新刊紹介】
「詩人の魂と哲学者の思索が織りなすタペストリー」
2006年5月28日 読売新聞【書籍紹介】
首都大学東京教授 神崎繁氏
「詩と哲学のデュオという副題からは,情緒的な詩を理知的な哲学の言葉で解説したものが思い浮かぶが,読んだ印象はむしろ逆である」
2006年5月7日 日本経済新聞【詩歌のこだま】
詩人 小池昌代氏
「茨木のり子の詩と思索」
2006年4月30日 東京新聞・中日新聞【読書】
詩人 蜂飼耳氏
「いきいきと光りだす言葉」
2006年4月23日 高知新聞・琉球新報ほか各紙 【読書】
ドイツ文学者 エッセイスト 池内紀氏
「凛とした響きへの呼応」
2006年4月16日 産経新聞【Sunday読書】
文芸批評家 新保祐司氏
「緊張感のある詩と散文のデュオ」
2006年4月6日 毎日新聞【詩歌の現在】
酒井佐忠氏
「日常からの思索の深さに共感する」